日本と、ジャンダーギャップ指数ランキング2位のフィンランド、及び、ダイバーシティ先進国であるアメリカ(ジェンダーギャップ指数ランキング30位)の3ヵ国において、現在就業中の20~40代の男女計各300人(計900人)を対象に、「仕事とジェンダー」に関する調査をIndeed Japanが行い、結果を発表しました。
<調査結果のサマリ>
仕事に対する価値観
・3ヵ国とも働くことを「安定して生活するための手段」として捉える割合が高いが、日本人女性が特に顕著
・日本よりも海外の方が仕事に対する価値観が多様な傾向
働く上で感じる男女差
・どの国も男性より女性の方が「自分の性別を不利」と感じている
・日本では職場でのハラスメント、海外では発言権のなさが上位の課題
昇進・昇格への意欲
・どの国も昇進・昇格したい理由の上位は「給与増」「スキルアップ」だが、昇進・昇格したくない理由に日本と海外で差
仕事に対する価値観
「働くこと」をどのように捉えているか、仕事の価値観や考え方について尋ねたところ、国・性別にかかわらず仕事は「安定した生活をするための必要な手段」であると回答した割合が最多。
中でも日本は「安定した生活をするための必要な手段」であると回答した人が、男性の64.0%、女性の75.3%にのぼり、男女ともに他国と比べて20ポイント以上高い結果となりました。
日本では仕事を「生計を立てるための手段」として捉えている人が多く、中でも日本人女性にその傾向が顕著であることがわかりました。
また日本で特徴的だったのは、他2国と比べ、仕事に対し「安定した生活をするための必要な手段」以外の価値観を見出している人が少ないという点。特に、日本人男性は仕事を「自己成長の機会」と捉えている人が非常に少ないことが特徴として表れました。
3カ国の回答を比較すると、日本では一つの価値観に対する割合が非常に高く、価値観が画一的な傾向にあるのに比べて、フィンランドやアメリカでは日本よりも多様な価値を見出していることが見受けられたとのことです。
働く上で感じる男女差
「働く上で自身の性別が不利だと感じた経験の有無」について尋ねたところ、どの国でも男性に比べて女性の方が「自身の性別が不利」だと感じた経験のある割合が高く、女性は男性の約2倍以上いることが分かりました。
日本は、男女とも「自身の性別が不利」だと感じた割合は他国よりも高い結果に。
一方で最も男女間ギャップが小さかったのは日本で、女性は男性の1.97倍でした
各国の女性に自身の性別が不利だと感じたのはどのような時かを伺ったところ、日本の1位は「給料が上がらない」33.3%、フィンランドの1位は「補助や雑務ばかり押し付けられる」37.0%、アメリカでは1位「昇進・昇格ができない」33.9%で、各国にばらつきがありました。
共通して上位に入ったのは、「給料が上がらない」、「昇進・昇格ができない」という理由でした。
日本の特徴としては「セクハラを受けた」が2位、「パワハラを受けた」が3位と、3ヵ国の中で唯一、ハラスメントに関する理由が両方とも上位5位にランクインしていることです。フィンランドとアメリカに比べ、日本の女性はハラスメントを受けやすい環境に置かれている可能性が見受けられます。
男性に対しても、自身の性別が不利だと感じたのはどのような時かを質問。
フィンランドとアメリカでは共通して「昇進・昇格ができない」が1位であるのに対し、日本では「体調不良の際に理解が得られない」が1位となっています。
昇進・昇格への意欲
「現在所属している企業・組織での昇進・昇格意欲の有無」について尋ねたところ、昇進希望者(「昇進したい」「どちらかと言えば昇進したい」の合計)は、日本は男性59.3%、女性53.3%の結果となり、日本は男女ともに3カ国の中で最も昇進意欲が低いことがわかりました。
中でも、日本人女性の昇進意欲が最も低く、「昇進したくない」「どちらかと言えば昇進したくない」を合わせると46.7%と半数近くとという結果になりました。
昇進意欲の低い日本の男女に、その理由について尋ねると、男性・女性ともに「仕事よりもプライベートを充実させたいから」を1位。
男性の場合は「仕事で大きな責任を負いたくないから」を、女性は「仕事よりもプライベートを充実させたいから」を2位の理由に挙げた結果となりました。この結果から、仕事に対して後ろ向きな理由が上位となっており、日本人の男女ともに仕事自体への意欲が低くなっている状況がわかります。
この結果を受け、日本女子大学名誉教授の大沢真知子氏は「日本の職場の長時間労働の問題」が昇進意欲の低下を招いていると指摘。
また、女性であることが働く際に不利になっている原因について、日本の場合、そもそも意思決定の場に女性がいないことが他国と違った結果につながったと言及しました。
この調査で大切なことは、日本の女性がセクハラ・パワハラを受けているという事実です。
日本企業はこの結果を重く受け止め、再発防止に努めないといけません。
2022年4月1日から中小企業においても「パワハラ防止法」が適応されます。
企業内で起きているハラスメント問題を今から精査し、由々しきことを今から正す必要があります。
そのためには、キャリアコンサルタントのような専門家を配置し、状況把握することが有効です。