2021年9月15日から3日間、Sansan株式会社主催のビジネスカンファレンス「Sansan Innovation Project 2021」が開催され、初日のキーノートセッションでは『ちょっと未来の働き方』をテーマに、あらゆる領域で挑み続けるゲストを迎えて、「ちょっと未来の働き方」についてのセッションが行われました。
テクノロジーは間違いなく進化するが、AIに慣れすぎることは危険
最初の登壇者、Apple共同創業者のウォズニアック氏はコロナにより急激に変化した今の働き方と将来について下記のように話しました。
「コロナ禍において、多くの人は家から仕事をすることで生産性が高まることを理解しました。時にミーティングするけど毎日ではないようなハイブリッドな働き方があることは面白いことだと思います。これからは将来にとって、会社にとって、従業員にとって、世界にとって、何がベストなことなのかを考えないといけません。働き方において、大きな変化が起こると思います。」
さらにAI化が進む未来について、このように言及しました。
「コンピューターテクノロジーが成長するのはトレンドです。しかし、AIに慣れすぎることは危険です。AIは未来を良くしようとするイマジネーションを持っていないためです。アルゴリズムにとって非効率が生まれることもあるでしょう。」
AIには「未来を良くしよう」というイマジネーションを備わっていないため、AIばかりに頼りすぎる未来は、我々が築きたい未来と大きな齟齬が生まれてくる可能性があるということです。
いくらデジタル化、AI化が進んでも、人が軸であることが必須のようです。
マルチタクスをこなす「ママアスリート」としてのマインドと行動
「ちょっと未来の働き方」という観点では、東京オリンピックに出場した陸上競技選手の寺田 明日香氏のセッションが面白かったので、一部を抜粋してお伝えします。
Q:コロナ後の変化について
「コロナ禍において、体調管理はすべてアプリやウェブ上で行われるようになって、選手やスタッフたちに共有されるようになりました。練習環境がなくなった時に、コーチに見てもらえない時期があったので、動画を撮ってSNSやクラウド上に保存してみんなで共有するようになりました。それまで会ってしていたこと、つまり練習内容の共有からミーティングまでオンライン上で行うようになりました。」
Q:「企業に務める社会人」、「子どもを育てるママ」、「世界で戦うオリンピック選手」というマルチタスクに生きる寺田選手はどのようなマインドで行動していますか?
「その時その時にいろんな選択があるのですが、まずは「今しかできない、注力すべきこと」と「マルチタスクでやった方が効率がいいこと」を分けるようになりました。例えば練習は全てを注がないといけないので、しっかり時間を区切ることで、そのほかのタスクも効率的に動けるようにしました。」
Q:日本と海外の違いについて
「日本では母親になった選手が戻ってくる過程や子供を預ける場所など整っていない部分があります。海外の選手はシッターさんを連れたり、チームから許可を得て子どもを練習に連れて行ったりしています。日本はまだ追い付いていない部分ですね。」
Q:スポーツ選手としてのちょっと未来について
「ウエラブルの個人データの蓄積により、それぞれの個人に向いた運動やエネルギー消費量が明確に出てきます。そういった高度なデータを活用していくようになると思います。あとはコミュニケーションツールとしてオンライン上が増えてきたので、その場にいなくても指導が受けられるということが増えていくのではないかと思います。」
働き方は生き方の一部です。
働き方だけに注視するのではなく、生活における役割や実現したいことなど、生きる上でのマルチタスクをどのように仕分け、どのように効率的に行なっていくのかがとても大切になります。
その効率化の一つの要素が、コロナによってもたらされたデジタル化なのでしょう。
実体験から語られる寺田選手の言葉に、たくさんの学びをいただきました。
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